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6月30日の日誌(藤村)

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サッカーのワールドカップっていうのは、やっぱりね、ちょっと規模が違うんですよ。

ほら、WBCとかあるじゃない。日本が勝った、世界一になったって、日本中が盛り上がる。もちろんあれもすごいんだけど、サッカーのワールドカップっていうのは、もうちょっと違うところにあるんです。

じゃあ、なんでサッカーのワールドカップがあんなに盛り上がるのか。

それはね、サッカーっていう競技自体が、ものすごく単純だからなんです。

今はさ、システムがどうだとか、フォーメーションがどうだとか、ディフェンダーがどうだ、ボランチがどうだって、いろいろ言うじゃないですか。でも本来、サッカーっていうのは、ゴールキーパー以外、基本的にポジションなんかないんです。

全員が自由に動き回って、相手のゴールにボールを叩き込めばいい。ただそれだけなんです。

で、そこに手を使える最後の守護神がひとり立っている。

ルールとしては、ものすごく簡単なんですよ。ボールが一個あればいい。だから世界中に、あっという間に広がるわけです。アフリカの山奥だろうが、南米の路地裏だろうが、どこでもできる。野球はやってないかもしれないけど、サッカーはやっている。そういう競技なんです。

だけど、こんなに単純なのに、点を取るのがものすごく難しい。

野球だったら、10対0もあるし、9対8もある。プロ野球を見ていても、0対0とか1対0って、そこまでしょっちゅうあるわけじゃない。

でもサッカーは、たった1点を取るために、こっちはじりともせずに見ていられるんです。

いつ入るのか。入らないのか。たった1点をめぐって、90分間ずっと見ていられる。

俺はね、その競技に、はまっちゃってるわけです。

で、そんな世界の祭典の中で、日本は今、あっという間に世界の強豪国になった。

FIFAランキングっていうのがあって、ポイント制で順位が出るんだけど、日本は今、17位とか18位とか、そのあたりでしょう。でも俺はね、実力的にはもう世界の10位以内だと思ってるんです。
世界に200いくつの国と地域があって、その中の10位以内に入る実力が、もう日本にはあると思ってる。

それを今回の大会で、かなり示せてるなと思うんです。だからもう、目が離せない。

いや、日本人だから応援しているとか、そういうことだけじゃないんですよ。

日本人って、すごく規律がしっかりしているでしょう。だから野球で世界一になるっていうのは、俺はすごく分かるんです。野球って、日本人が得意な競技だと思うんですよ。

でもサッカーは違う。

本来は、自由に動き回っていい競技なんです。これと決まった型だけでは勝てない。自由度が求められる。世界中の、ありとあらゆる身体能力や感性を持った人たちがやっている。

その世界の中で、日本がトップ10に入るような実力を持っている。

これはね、すごいことなんです。

しかもサッカーって、スタープレイヤーの競技でもあるわけです。

アルゼンチンだったらメッシがいる。ブラジルだったらネイマールがいる。イングランドにも、フランスにも、世界に名だたる選手がいる。何百億円も稼ぐような選手がいる。

でも日本には、そこまでの絶対的なスタープレイヤーはいないわけです。

それなのに、日本は強い。

いろんな選手が怪我をしても、誰かが出てくる。で、誰が出てきても、日本の戦術が変わらないんです。

こんな国の戦い方って、他の国にはなかなかないと思うんですよ。

アルゼンチンだったら、メッシがいなくなったら、たぶん戦術が若干崩れてくると思うんです。もちろん、それもサッカーの強さなんですよ。圧倒的な個の力がチームを引っ張る。それはそれで、とんでもなく魅力的なサッカーです。

でも日本は、たぶん今までとは違う、サッカーの何かを作っているんじゃないか。

だから俺は、目が離せないんです。

勝った、負けたということ以上に、日本みたいに、誰が出てきても同じ戦術でぶれない戦い方をするチームっていうのは、世界から見たら驚愕だと思うんです。

でも、日本人からすると、そんなに不思議じゃないわけですよ。

「スタープレイヤー、別にいらないじゃない」
みたいなところが、どこかにある。

これは国民性なのか、なんなのか分からないけど、みんなで同じ絵を見て、同じ方向に動いていく。ひとりが突出しているんじゃなくて、全体として強い。

これは不謹慎に聞こえるかもしれないけれど、第二次世界大戦で世界を敵に回した、あの小国の日本っていうのは、きっとこういう強さだったんだろうな、とも思うんです。

もちろん、それを肯定しているわけじゃないですよ。むしろ、その強さには危うさもある。

でも、サッカーを見ていると、日本という国が持っている集団としての力みたいなものが、なんとなく見えてくる気がするんです。

自由に戦っているように見えるけれど、実は全員が同じ絵を見ている。

誰が出ても替えが利く。

替えが利くって言うと冷たく聞こえるけど、それはつまり、システムとして強いということです。
今の日本サッカーは、その強さを世界に示し始めている。

だから俺は、勝ち負け以上に、そこが面白いんで。

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