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藤村でございます。
日誌です。

キャラバン2023が終了いたしました。

最後の会場、小豆島に入ったのは28日水曜日午後のことでありました。

翌29日はオフ日だったので、釣りバカ古澤剛とともにその日は夜釣りに行く計画を立てておりました。

素晴らしい歌声を響かせる古澤くんでありますがこの一年、メジャーヒットを飛ばすこと叶わず、生活苦で泣く泣く釣具を売り払って家賃を支払うというドン底にまで落ち込んでいたのでありました。

そんな諸事情を、今回のキャラバンで包み隠さず吐露したところ、みなさんの投げ銭が怒涛のごとく押し寄せて、彼は新しい釣具を手に入れることができたのであります。

「まさかこんな幸せなことがあるとは!」

彼は新品の釣り道具を引っさげて意気揚々とイカ釣りのメッカ、小豆島に上陸を果たしたのでありました。

一方私は釣具を小豆島で調達するために、フェリー下船後はバスを降りて、店長と吉田が操る2トントラックに乗り換えることにしました。

「釣具屋に寄ってくれ」と。

すると店長が

「ケーキ屋にも行きますけどいいですか?」と。

「はぁ?ケーキ?」

実は29日は古澤くんの誕生日だったんです。それでまぁサプライズ的に、夕飯の時にみんなでお祝いをする計画であると。

「あーなるほどね」と。「いいよいいよ」と。

すると私が釣具屋に行くことを聞きつけた釣りバカ古澤剛が「僕も行っていいですか?」なんて言うもんですから、慌てて「ゴメン、もう乗れないから」などと白々しく断りまして、急ぎバスを降りたのでございます。

けげんな表情を浮かべた古澤剛ではありましたが、「では申し訳ないんですが、これこれを買ってきてください」と私に伝え、彼はバスで宿へと向かいました。

うまく古澤剛を巻いた私は、小豆島の気の良さそうな釣具屋の主人に「予算一万円でとにかく釣れるオススメの道具と仕掛けを揃えて欲しい」というオーダーを出して一式を揃えましてね、したらこれが確かに釣れそうな感じでございまして、「いやもう早く釣りたい!」「たぶんこれ一投目で来るぞ」と釣りバカの胸は高まるのでありました。

この日のオールスタッフの夕飯は通常より1時間早い6時に設定いたしましてね、釣りバカ古澤剛と同席した私は「いい道具が揃ったよ」「良かったですね」「もう7時には釣り場に行こう!」などとバイキングメシを食らいながら盛り上がっておりました。

30分もしたらあらかた腹が一杯になりましてね、

「よしよし、これなら7時には行けるね」
「いやー今夜は満月で、潮もサイコーなんですよ、早く行きたいですね」

とバカ2人で早々に食事を終えました。

「じゃあ我々は準備もあるので」

と、ふたりで席を立とうとすると、周りの部員たちが

「もう行くんですか?」
「早くないですか!」
「もうちょっとゆっくりしましょうよ」

と口々に我々を引き止めようとする。

「いやいや、もうオレら行くから」

と、私が半ば強引に席を立とうとすると店長が慌てて、

「いや!もうちょっと待ってくださいよ!」

と、少し声を荒げて強引に我々を引き止めようとするのであります。

釣りバカが釣りに行こうとするところを止めるなんて言語道断の所業。

「なんだよ?まだなんかあんのかよ?」

と、私は若干怒気を含みつつ店長を問い詰めると

「いやまぁ、いろいろ、段取りがね、あるじゃないですか」

と、要領を得ない答え方をする。

「おまえな、そういう曖昧な答弁が一番現場を混乱させるんだぞ!」

と、私がキツく問いただすと、こともあろうに店長は私に向かって反抗的な目で睨み返してくる。

「オイ!おまえわかってんのか!オレたちは早く釣りに行きたいんだよ!」

と、しばし険悪なムードになったところで、古澤くんがいたたまれずに席を立ち、喫煙所に行ってしまったのであります。

それを確認すると店長が

「ちょっと藤村さん!何言ってんすか!ケーキ!」

横を見ると、ついたての向こう側で女性部員がローソクを燃やしたバースデーケーキを持って立っているのが垣間見える。

「あ...」

言葉を失いました。

「そうだった。ごめん」

「ちょっとぉー!なにしてくれてるんですか!」

私は猛反省し、急ぎ喫煙所に行き、古澤くんに「ま、ゆっくりコーヒーでも飲もうよ」と、手のひら返しのウソをつき、まぁなんとかサプライズ的なケーキ登場とあいなったわけでごさいます。

そうしてその夜、我々は爆釣し、なんと翌朝6時半まで11時間も小豆島の堤防に留まり釣りをしたのであります。

翌29日のオフ日は昼過ぎまで寝て、私は3時からモルックを3時間して、そのまま7時から藤やんうれしーの会員のみなさんと寄り合いをし、こちらのオンライン飲み会も同時にして、翌30日曜日、キャラバン最終日を迎えたのでありました。

大盛り上がりのキャラバン大千穐楽を大輪の花火で終えて、その後は盛大にスタッフで打ち上げの飲み会がありましたが、私は、一滴の酒も飲まずに静かに過ごしていたのであります。

「古澤くん、明日は朝4時半にロビー集合でいいね?」
「いいですよ!」

キャラバンの余韻など微塵も引きずることなく、釣りバカの心はもう翌朝の爆釣に向かっていたのでありました。

翌早朝、午前4時。キャラバンの疲れを見せることなく起き出した私でありましたが、外へ出るとそぼ降る雨。

「いやさすがにどうだろう?」

と思っているところへ古澤剛が登場。

「いやー雨ですね」

と、やはり彼も沈んだ表情を見せたのも束の間、

「雨は魚の活性が上がりますから絶好のコンディションじゃないですか!」

と、満面の笑みを浮かべて意気揚々と車に乗り込んだのでありました。

雨の堤防でイカを狙い続けた古澤剛は残念ながらボウズ。私はカサゴを2匹釣って小豆島での釣りを終えました。

と、言いたいところですが、釣りバカはやはりバカ。岡山県に渡るフェリー乗り場で20分ほど待ち時間があると聞けば、いそいそと竿を出し、港内に向かって熱心にキャスト。岡山県に上陸し、港で昼食を終えれば、バスの出発まで熱心に竿を振る。

その昔、天然パーマの青瓢箪が

「いいか藤村くん、釣りバカは人を狂わすぞ」

と言ったのは、至極名言であったと痛感したキャラバン2023でありました。

(2023年10月1日 藤村忠寿)

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