嬉野です。この頃になって、世の中では浅煎り珈琲を飲ませてくれるコーヒーショップが増えたようで、インスタで検索するとけっこうヒットするようになったんです。
なんで、東京に出張に来ると時間をみてマメに探訪するようにしてます。
藤村さんが、オーパーツのお芝居で通ってた西新宿の稽古場から少し歩いた清水橋の交差点にもカウンターパートコーヒーギャラリーというお店があって、「なんだ、こんなとこにもあったんだ」と思って、東京に着いた日に、大急ぎで出かけたら、コロナの蔓延防止期間なので通常営業じゃなくて18:00閉店だったらしく、お店到着と同時に「閉店なんです」と宣告されたんですけど、「今日、北海道から来たんです」と言ったら、「それはビックリ」と意気に感じてくれたのか、「いいですよ、店内で飲んでいってください」と、おお目にみてくれて、実になんとも、ありがたかったですね。
ぼくね。この頃、つくづく思うんです。
自分の体質に合うものを食べるとハッピーなんですよね。その時間が。
珈琲もそうで。
飲んで「おや、美味しい」と思える味があるんですよ。
そしたら、その瞬間ほんのり感動するから。そしたら、それでもうハッピーなんですよ。
そんな、ほんのりハッピーな時間が、今の日本なら、まだ、ふつうにあっちこっちにあって。で、これが、この状況が、そういえば、いつまでこんな長閑な状態で持ち堪えられるんだろうな、って、不意に思うことがあるから、この頃ぼくは、なおさら、マメにあちこち出歩いて、ほんのりハッピーな、この時間を体験していこう、って、決めたんです。
なんで、その清水橋のコーヒーギャラリーには、そのあとの出張でも、あの日のお礼がてら行くことがあって。
で、その日、コーヒー飲んでお店を出ても、まだ、日も高い午後の3時くらいで、用事もなかったんで、とりあえずホテルに帰ろうと思って、地図見たら、そこから、千代田線の代々木公園駅まで歩けそうだと思って歩いていたら、
小田急線の代々木八幡駅を通るバスがあって。
なんだ、これは便利だなぁ、と、そんなバスが走ってることにも感動して、またハッピーになってね。
バス停でバス待ってたら、割とすぐ来てくれて、それで、車内でしばらく揺られてたらこれまた割とすぐに代々木八幡駅に到着してね。
で、バスを降りて、代々木八幡駅をやり過ごしてエスカレーターで降りて行くと、商店街があって、そこを少し歩くと、代々木公園駅はもうすぐそこだから、
「なんだか、東京ってワクワクするな」って思って。
なんか、飲み食いのお店を探訪して出歩いてると、感動エリアが容易に広がって、繋がってるのが分かってきて、東京はなんてハッピーな町なんだろうとまたまたハッピーになって。
そしたら、飲茶のお店が目に入って、その店構えが美味しそうで気になってスマホで調べたら、その店が、まだコロナになる前に、YouTubeライブ終わりで、よく、みんなで食って帰ってた「羊香味坊」の系列店だったことがわかり、ずいぶん中途半端な時間だったけど、でも、「だったら入ろう」と思ってね。
それで入店したら、さすがに時間が時間だからお客さんも居なくて、でも、店内はスタッフの数が充実してて、その雰囲気にも美味そうな気を感じたんですね。さすがは「羊香味坊」の系列店だなぁって期待が膨らんで。
だって、それくらい「羊香味坊」美味しかったんですよ。羊の肉を使った中華で、一味違う癖の強い旨さで、クセになる味だったんです。チャーハンとか激ウマで。
そしたら、やっぱり、代々木八幡のその飲茶の店も美味くてね。ぼくはまた、ジンワリ感動してハッピーな時間をもらったわけです。
その日はよく晴れて、もうお昼時も、とおに終わり。
とはいえ晩ごはんにはまだ早いぞ、という中途半端な昼下がりの午後3時半ころで。
そんな時間に、旨そうな天津の献立が山のようにある店に1人で入ってね。
これから自分の好きそうな天津を思うまま食えるというんですから、これ以上ハッピーな時間はないですよね。
細長いガラス張りの厨房の中では中国語が飛び交ってて、お姉さんがニコニコしながらシュウマイ作ってて。
ぼくは、まずプーアル茶を頼みました。
プーアル茶、とても好きなんです。あのお茶は、濃く出してても味が苦くなったり渋くなったりしなくて、いつまでも美味しいままなんで、安心感があって大好きです。
あと、海老と竹の子を刻んだ餃子3個と、春巻き3個と、牛肉のお粥を頼んだんです。
そしたら、出て来た海老と刻んだ竹の子の入った餃子がめっちゃ好みの味で美味くて。感動。
次に来た春巻きも椎茸の味が濃く出てて熱々でめっちゃ好みの味で、実に美味い。
私はまずね。
小皿にお酢を垂らして。
次にお醤油です。
この順番にするとお醤油の色味が見えやすいからお醤油を入れすぎるということがないんですよ。
うっかりお醤油入れすぎて塩っぱくし過ぎる失敗がないんで、ぼくはいつもこの順番にしてます。
で、その酢醤油の皿に、春巻きを一本乗せてね。
で、割り箸で春巻きの先をサクっと潰して。
それで春巻きの中にも酢醤油を染みさせてから食べ始めます。いやぁこの春巻き美味いです。
そして、プーアル茶を飲む。
美味いねぇ。
感動です。無限ループです。止まらないです。
そしたら牛肉のお粥が持って来られてね。これがねぇ、デカかった。思ってたよりデカかった。
いかん、お粥は我慢するべきだった。なにしろお昼を食った後の午後3時半でしたから、そんなには食えない。
こんなに美味そうな餃子がいく種類もあるんだから、まずは、餃子ばかり、気に入ったやつを頼んで食い続ける方がよかった。
悔やみましたが後の祭り。
でも、そのお粥、薄味でね。
なんか、このお粥に入れて食いたくなるような味の濃い薬味小皿料理はないかいなとメニューを見回したけど見当たらず。
なんで。ためしにお粥に、お醤油を垂らしてみようと思ってね。
細心の注意を払ってお醤油をひと垂らし、ふた垂らし、して。
そこのお粥を混ぜないで。
レンゲですくって食ったところ、爆発的に美味くなってて感動。
このお粥、薄味に作ってたけど物凄い出汁が効いてたってことだね。
そしてまた、そこへプーアル茶を流し込み、またお粥にお醤油を、細心の注意を払ってふた垂らし。
そこを混ぜずにレンゲですぐって。
いやぁ美味いよ。
ぼくもね、62ですからね。
こうやって日がな一日。
この感じで過ごして、明日も明後日も、この、繰り返しでも良いんじゃないだろうか。
って、思ったらね。
そのイメージだけで感動。
平和っていい。
でも、平和って、もろいから。
平和である内に堪能しとかないと、後できっと後悔する。
そんなことも、知ってるつもりの年齢ですよ。
なんで。
今一番、自分が熱心にやらなきゃならないのは、こういった、ほんのり感動のハッピーな時間を体験するために町を練り歩くことだなと、ぼくはもう決めたんで。
とにかく、時間みつけたら、ふらふら出歩いてハッピーにさせてもらおうと思ってます。
今あるここにふつうにある日常は、ぼくらに、ものすごくハッピーを用意してくれていますよ。
これに気づかないでいるのは、大損だよね。
あぁ、腹が減って来ました。
お腹が減る感じ。これもまたいい。
だってまだ、ちょっと歩くと、美味くて感動さしてくれる店が、敷居低く、あちこちにあるからね。
みたいな話でしたよ、今日は。おしまい。
(2022年3月6日 嬉野雅道)