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藤村でございます。

YouTube「どうでそうTV」で島根県にある世界遺産・石見銀山の動画が公開されました。

あの、ここは本当に良い場所でした。

一部では「世界がっかり遺産」なんて言われているそうですが、確かに日本の主な観光地とは、その思想がまるで違います。

象徴的でわかりやすい建造物の前で写真を撮り、ソフトクリームを食べながら少し歩いて、地名の入った箱物のクッキーかなんかのお土産を5つぐらい買って帰るような、そんな観光は石見銀山ではできません。

案内人の人にお話をじっくり聞いて初めて理解できる価値があるんです。

一般的な観光地と違う思想が分かるのは、ここが世界遺産に指定されたのと同時に制定された住民憲章です。

それは「私たちには暮らしがあります」という言葉から始まります。

憲章に書いてあるのは、私たちは観光に依存した生活をするのではなく、まず自分たちの暮らしやすさを第一に考える、という宣言です。

思えば400年も前に銀という高価な資源が産出されたことでこの町は大きくなりました。しかし100年前に銀がなくなってほとんどの人がいなくなり、それでもここに住み続けた人々が、この町の遺産を守り続けて来たわけです。

それはこの数百年の間に培われた、銀や観光という資源によって変わってしまう生活環境に左右されない、びくともしない暮らしを営み続けるということが一番大切だということにここの住民たちが気付いたからです。

我々は常に変化する環境に対応しようと生活自体をそれに合わせて変えていくのが常だと思ってました。

仕事であれば時代の変化に対応するのは不可避なことでしょう。でも、仕事と生活は別物なんです。生活のために仕事があるのであって、仕事のために生活を犠牲にしてしまうのは本末転倒である、ということが石見銀山では周知されていることを知りました。

ここを訪れると、日々の生活をもっと大切にしようという当たり前のことに立ち返ることができる、とても先進的な世界遺産なんです。

是非一度訪れてください。そして「他郷阿部家」に泊まってみてください。一泊4万もするお高い宿ですが、1日2組限定で、あのおもてなしであれば、一生に一度は泊まってみる価値は十分過ぎるほどあります。なんせ、それでも赤字の宿なんですから、あのクォリティは金儲けではできませんよ。

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(2023年2月7日 藤村忠寿)
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