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嬉野です。先日、東京出張の折に、出先のカフェで遅いランチを終えて食後のドリンクでひと息ついたとき、何気なく股間に視線を落としましたら、私のチャックが全開になっているじゃありませんか。

まさかの事態に、思わずギクリと息を呑んでしまい、

「これっていったい、いつから全開だったんだ?」と、ひとり密かに焦ったわけです。しかし後の祭りであることに疑いはない。

そりゃあんた、ホテルを出たときから全開だったに決まってるわけですよ。いやはや本当に、知らないというのは恐ろしい。股間が全開の男がですよ、何も知らずに堂々たる態度でここまで移動して来ちゃってるわけでしょう? その間、私はいったいどんなポーズをとりつつここまでやって来たのか、それを思うと不安です。

地下鉄に乗りこんで、女子高生の前や、ご婦人の前や、坊ちゃんの前で股間全開のオヤジが真面目な顔でスマホとか見てたってことなんでしょう?
ネットニュースの衆院選の特集記事とか苦み走った顔とかして読んでなかったでしょうねぇ? チャック全開のオヤジがいっちょ前に分かった顔しているようではあまりにも落差がキツい。

私としては、悔めども、もはや手遅れではありましたが、それでも全開に気づいたときは、一瞬、冷や汗が出そうな勢いでした。

だって、このお店に入るときも私のチャックは全開だったってことですよ。

「おひとり様ですか?」って、お店のお兄さんに聞かれましたけど、そのとき私、変に澄ました顔で「えぇ」とかなんとか答えてなかったでしょうねぇ。全開の奴なのに。

でもこれ、おかしなものでね、結局、ここまで話しをして来ましたが、私が一番敗北感を感じてしまってやりきれなかったのは、全開に気づいたときではなくて、それに気づいてガッカリした後に、しかたなくひとりで全開のチャックを閉めるときでしたね。

なんかね。股間のチャックのツマミになかなか手が伸びないんですよ。「なんならこのまま知らなかったことにして帰り道も開けて帰るか」と、一瞬、思わなくもなかったくらいです。あれは何だったんでしょうね。しかし、そうもいきませんから、ビュッという音をさせて、きっちり上まで締め上げましたよ。とほほ。

さぁ皆さんも、うっかりせぬようにいたしましょう。

しかしまぁ、人間、こういうときにはね、全開してたって開き直って世間様に悪びれることなく、たとえ近くの人に指摘されて気づいても、「え? あ、開いてますねぇ。やっぱり自信の現れなんですかねぇ」みたいなこと言って、開き直って笑顔でそのままにしとくくらいの方が勢いがあって良いのかもしれませんね。

何にしても我々は、かくのごとく他人様の前で、けして失敗のないように、なんとか少しでも良く見られるようにと、緊張感の中で生きているってことですよね。それが社会だよねってことですよ。人間はそういう緊張の中で生きてるんですよ。その緊張が社会で生きる我々人間の関係性の中に置かれているから、何処かで残念なしくじりをする人が出ると、そこをうっかり見つけた誰かさんが、クスクス笑っちゃうんですよ。ということは、クスクス笑ってる人も同じように緊張して生きていたんだってことなんですよ。誰もが緊張して生きていたからこそ他人のしくじりを見て、あの人も私とおんなじように緊張してカッコつけてたかと思うとホッとしてね、それが笑いに繋がってしまうわけですからね。

そういった意味では、正直に笑ってあげた方が良いですね。誰かが小さな失敗をしたらね。みんなで、素直に笑い話にしてあげることの方が大事だと私なんかは思いますね。

人の暮らしに必要なものは、「ここで笑っては気の毒だ」という妙な気遣いではなくして、反射的に素直に笑ってしまうことのように思いますよ。

もちろんクスクス笑われた人は、笑われてショックかもしれませんが、でもね。笑った人たちは確実にその笑えてる瞬間に、自分たちの緊張を緩められたわけですからリフレッシュできたはずでなんですよ。

つまり。股間のチャックが気づかないうちに全開になってるような残念な失敗は、それを発見しちゃった人の緊張をほぐして笑わせてくれるわけですから、巡り巡って、世の中の人のためになっているわけなんですよ。

ですからチャックごときが全開していようと堂々たるもんだということですから、ご安心くださいませ。と、自分に言ってます。

そのとき、どのように対応するか。それは、まぁ、それぞれの皆さんのキャラに合わせて試行錯誤しながら、素直さに身を委ねて、思うがままにやってみられるのがよろしかろうと思います。

それでは次回、ここでまた朗らかにお会いいたしましょう〜〜!

 

(2021年11月3日:嬉野雅道)

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