藤村でございます。
妖精生活5日目が終了しました。
2週間前も10日間、青森酸ヶ湯温泉の6畳間にこもって湯治生活をしておりました。
朝5時過ぎには起きて風呂に入り、午前中は八甲田山中を歩き回ってまた風呂に入り、湯上がりには万年床に寝転がり、それを一日中繰り返して、5日目ともなると、肌がヒリヒリして顔が荒れて、でも心は日に日に落ち着いて晴れやかになってくる。
八甲田の山の上に、僕が勝手に天国と名付けた場所がありましてね。晴れ渡った空に向かってウグイスが高らかに歌い、風が混じり気のない空気を運んできて、それを思い切り吸い込んで、目の前にある山々をただ「いいなぁ」と何度も呟きながらしばらく眺めている。たったそれだけで、なんとも幸福な気持ちになってくる。
そうかそうか、これだけで充分じゃないか。
なんだよ、これだけでいいんじゃないか。
そうなふうな、納得をするんですよね。自分でね。
こんな世の中にならなければ、10日間も湯治をするなんて思わなかったし、赤平での野鳥生活もしなかっただろうし、これはある意味「コロナの恩恵だな」と思っていたら、今度はまさにコロナ禍の真っ只中に送り込まれることになって。コロナの渦(うず)の中に巻き込まれて、まさに渦中の人。
こうなるともう、心は乱れ、不安の中に身を置くしかなくなってくる。
ウグイスの声も聞こえない、風も感じない、空は晴れても気持ちは晴れない。
そうやって渦中に入ったからこそ、逆に見えてくるものもある。
一番はね、「ウィルスとは違うところで心がやられてしまう可能性も高い」っていうことですね。
これから渦中の人は、どんどん増えてくる。でも実際には、僕のように無症状だったり軽症だったり、という人の方がその多くを占めている。
そういう、いわゆる妖精さんに対する心のケアというのが、実はとても大事だと。
たいした症状もないのに「療養」という無為な日々を過ごすことは、どっちかと言えばウィルスよりも自分との戦いがメインになってくる。気持ちが弱まれば免疫力も下がる。ウィルスはそこを抜け目なく突いてくる。たとえウィルスは撃退できても心の病にかかってしまう可能性も高い。
だから、決してふさぎ込んではいけない。
妖精なってしまった人には、先輩としてこう言いたい。
「気持ちで負けるな」と。
いいですか、考えてみればこんな戦いは、日々、自分の身に起こっていることです。サラリーマンは一歩外に出れば常に戦場。そこをかいくぐり、これまでなんとかやってきたんだから、その図太さで乗り切っていけばいいんです。
渦中の人になるとまず、
「聞きました。陽性だそうですね。大丈夫ですか?」
こんなメールが次々と送られてきます。
それは、
「聞きましたよ!得意先と揉めたらしいですね。大丈夫ですか?」
と同じようなものだと思って下さい。
「今は良くてもで突然悪化するみたいですから、とにかく気をつけてください!」
これも次々に送られてきます。
それは、
「今は良くても業績は突然悪化しますから気をつけて下さい!」
こう読み取りましょう。
サラリーマンにとってこんなことは日常茶飯事です。
「んなこと言われたって、なっちまったもんはしょうがねぇべや」
と、思っていても、サラリーマンたる者
「まったく困っていますが、弊社としましても全力で業績向上の努力をして参りますので、今後とも是非ご指導下さい」
と、その程度の心ないコピペの文面でやり過ごすぐらいの心持ちで対処しましょう。
「本当に弱っているんです」と、真に受けてしまうと本当に弱ってしまいますからダメですよ。
「落ち着いたらまたゴルフでも」
ぐらいの社交辞令を返すぐらいでいいんです。
私は落ち着いたら、また八甲田に行きたいなと思ってます。10日間の湯治のあとは、3日程度の湯治をまたやれば、その効果はさらに持続するらしいですからね。
そして、あの天国のような場所で、思いっきり空気を吸い込んでやるんだ。
本日の体温36.4度。
血中酸素濃度97。
体調まったく変化なし!
以上!
-----------------------------------
藤村忠寿から届く日誌を毎日更新しています。
これまでのアーカイブはどうで荘にございます。