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D陣日誌
- スタッフより
2024.06.20
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嬉野です。日記です。
実は、少し前に、今は言えないとある企画で、編集さんに「水曜どうでしょう」で、感動した企画を教えてください、というテキスト依頼がありまして。
私としても、「え? 感動した企画なんてあったかな?」と思ったんですが。
たしかに最終回の藤村さんの号泣は感動的でしたが、でも、あの現場では、私ばかりはそんなことになってるとは露ほども感じていなかったので、あの瞬間には感動も何も、「お!いきなりどーした!」的な、驚きしかなかったんものですからね。
なるほど、だったら私が「ロケの現場で感動した」ことなら結構あるなと思い直しましてね。そっちの線でテキストを書き出したんです。
そして、以下のような読み応えのあるテキストが完成したわけです。
↓
「水曜どうでしょう」で感動した企画はと聞かれて、今、思いつくのは、「試験に出る石川県富山県」ですね。
それも最終話で行われた大泉校長の「校長訓話」です。
私はこの訓話をロケ現場で、リアルタイムで、この耳で聴きながら甚だしく感動したことを覚えています。
安田くんが最終試験の7問目で「トンボロ」と答えられず不正解となり、その瞬間、大泉校長の2回目の四国行きが決定してしまう、
「そうか!そうか!今年も四国か!」と大泉校長は思わず畳にのけぞり身悶えましたが、藤村くんに、「校長、締めの言葉を」と厳かに促されると、タレントの責任として、「たしかに番組にコメントで始末をつけなければ」と思ったのでしょう、即座に気持ちを切り替え起き上がるや、つんつるてんの背広で、まず居住まいを正すと、そこから実に3分近くもつづく長セリフを語り出すんですが。。。。
もちろん、あれには台本なんかない。
その場の即興で彼が語り出したことなんです。しかしながら、あの「校長訓話」はそのまま予備校の先生が言いそうな様式にのっとっており、しかも、意外に胸を打つのです。
大泉校長はまず、今も勉強を続けているであろうテレビの前の受験生の努力をねぎらうことを忘れない。
次に、安田くんの敢闘を評し、その上で、「しかし問題には必ず落とし穴があるから受験生の諸君も、そこは慌てず慎重に考えて本番には臨むように」と、静かに受験生たちを諭し、そうすることで安田くんのしくじりを無駄なものにせず、掬い上げると、さらにエールを送るのです。
「安田くんは試合には負けたかもしれないが勝負には勝っていた」と。
だったら、落ち込むな。「負けて悔いなし!」だと。「安田くんは全力を尽くしたんだ」と、それでイイんだ。安心しろ、と、「おまえの骨はオレが拾ってやるんだ」と、打ちひしがれた安田くんの魂を大泉校長は鼓舞し、安田くんの魂を慰めるのです。
その上で、今度は自身を振り返り、「どうでしょうゼミナールの校長として私にできることはここまでです」と、教師としての自分の非力を詫び、四国行きの決意を固める潔さ、
「ここからは1人の人間として、八十八の寺を回ってみなさんの合格を祈願したい」
まさかこんな感動的な流れのスピーチになるとは思ってもいなかったものですから、「いやぁなんかイイもの聴いちゃったなぁ」と、意外な気持ちだったけれど、
そこは大泉洋にしても、流れでついつい神妙に語ってはみたけど、「なんで、オレが独りで四国の寺を回らなきゃならないんだ。そもそも、おかしいだろう」と、やっぱりここでも思えてきたんでしょうね、スピーチの途中から大泉校長も笑っちゃってて。
それ見たら、聴いてる方もね、「あ、そんな気なんか本人にはさらさらなかったよね」ってことも、当たり前ながら思い出されてきて(^^)
でも、今までの訓話が予想外に素晴らしくて感じ入って聴いてしまって分だけなんだか可笑しくなる、という、とても自然な笑いへの運び、構造になってるから、見返すたびに笑ってしまう。
とはいえ、「今は、番組の締めに入っているのだ」と、大泉校長は自分に鞭を入れるように、ゴールへの直線を走り込む、
「案ずるな受験生! 残りの日々をビシッと勉強してください!どうもありがとうございました!」と、
全国の受験生に華々しい檄を飛ばしながら、土下座で締めくくるという、終始よどむことのない構成力と表現力と演技力だったわけです。
ここまでの語りは実に3分近くもあって。それなのに聴く者の心を捉えて離さない実のある内容となっている上に、やっぱり聞かせて爆笑させるという、実になんとも奇跡のスピーチだったのです。感無量。
私は大泉洋の、あの、ここ1番での並でない対応力に毎度深い感動を覚えます。そして今だに見返すたび聴き入り、そして見入ってしまうのです。
そんな大泉洋の長い長い奇跡のスピーチを同じく現場で浴びるうちに、満点が取れずに、失意の中で気の毒なほど茫然自失だった安田くんの表情にも、いつしか自然と笑みが戻っているんですよね。
大泉洋のそんな始末のつけ方に、今思い返しても私の感動は深まるばかりなのです。
おわり
と書いて、私は編集部に原稿を送ったのですが、
「すみません。150字ほどでお願いします」と、泣かれてね。
たしかに最初からそういう文字数でのご依頼だったのです。
なのに、いかん、筆が乗りすぎた。
編集部の方でもお困りの様子だったので、私としてもそれは不本意。
よし!とばかりに、この文字数から一気に150字程度に縮めましてね。
ここから150字カットしたんじゃないんですよ、150字にしたんです。そして送り直して、無事に入稿したんですけど、
さすがに削りすぎたんじゃないか。
150字で、あの私の思いは成仏させられたのか、と、思い。。。。
せっかくなんで、このページでね、皆さんにわたしの長い方のノーカットの原稿をご覧いただいて、
原稿供養をしていただこうと思いたち。
本日、日記の方にしたためさせていただきましたしだい。
あぁ、これで。
長すぎて日の目を見ることのなかった私の原稿も成仏できる。
ありがたい。
チーン。
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どうで荘での居候が続いている。
御存知、リアルどうで荘、神奈川県川崎市中原区にあるどうでしょうD陣の配信拠点。
そこに居候をしているわけだが、配信拠点なので当然機材が多く配置されている。
高価でないとありえない画質のカメラが串刺しになった(もっと正しい表現があるのだろうけれど、無知ゆえにわからぬ)三脚が屹立し、照明機材も林立。マイクも何種類かがギリスの近衛兵の帽子みたいな頭(なんて言うんだあれは。マイクの部位の名前もわからないし近衛兵の帽子の名前もわからない)をもたげている。パソコン、どでかいモニター、そのほか使途不明の、官房機密費みたいな、高そうな機材。そして床、机の上でとぐろを巻いているのが各種コード・線類である。
この線類がなかなかのくせ者。
配信というのは一個の機材でできるわけではなく、いくつかの機材の協力のもとに行われる。
その機材の接続、連絡を取るのがこれらの線。玉木青が配信を仕切っているとすると例えるならば彼が殿様である。織田信長である。
各機材は能力のある武将たち。羽柴秀吉柴田勝家丹羽長秀。
そして各種コード・線は連絡役。母衣武者ということになる。つまり毛利新介、野々村三十郎と言ったところになる。コード・線類は毛利新介なのだ。
これ、逆にわかりにくくなっているな。
逆の説明で使うべき例えだ。母衣武者とか毛利新介を説明するときの例え。
さて、我が部屋の毛利新介なこと線・コードの類なのであるが、これがなかなかの荒武者、猪武者、蛮勇と言っても良い性格だ。
もちろん仕事はできる。いつも通信は快適。しかしながらとにかく素行が悪いというか態度が悪いというか、要するにいつもぐちゃぐちゃなのだ。
ぐちゃぐちゃなどという言葉では表現できないくらいである。ぐぢゃぐぢゃ、あるいはぐぢゃんぐぢゃん、ぐっぢゃんぐっぢゃん、って感じなのだ。
現代社会くらい複雑に絡み合っている。アレキサンダー大王やったらブチ切れて一刀両断しているくらいの混迷ぶり。ゴルディアスの結び目。いや、ゴルディアスの毛利新介状態。
玉木青が配信を指揮する際に、何やら線の付け替えなどを行うこともあるのだが、もう、その苦労と言ったた筆舌に尽くしがたいものがある。
だって、一本の線を手繰り寄せたら線全部が混然一体となって「ゴゴゴ」という感じでこちらへ近づいてくるのだ。スムーズな作業などできようはずもない。
玉木青、そういうことがおこるたびに「コードを整理しましょう」というのだけれど、やはり混然一体となってまがまがしい気を放っている、メデューサの頭にも見えなくないそのコードの黒塊を見ると、我々の意志は削げ、石のようになってしまうのである。
居候には感謝が重要だ。ということをインターネットで観た僕も、感謝の意を伝えるべくコードを整理しようかと思ったこともある。
しかしながら生来愚鈍無知蒙昧因循姑息惰気満満たる玉田玉山である。
手を付けようとはしたものの、多種多様のコード、まさに八百万。
HDMIやらAC、USB、AUX、DVD、果てはSONY、Panasonicの文字も恐ろしく、イヤホン糸くず抜け毛までもが一致に団結をしているものだから手出しをすることができない。
僕は震えて眠るだけである。
そんな状況でもまあ何とかコード同士、見た目には混迷を極めていたとしても、連絡を取り合い、配信等に支障が無ければそれでいいのだ。が、そうもいかない場面というのが近頃散見されている。
コードというのはコンセント類からの給電の役割も果たしているわけだが、その給電の役割のコードが抜けておることがあるのだ。
こうなると起動すべき電気機器が起動をせず、配信に重大な支障をきたすことになる。
何故、そういう仕儀になってしまうのか。
僕がコンセントを抜いているのである。
いや、こういえば配信への妨害行為即刻退去の所払い、武蔵新城より10里の外より近寄ってはならぬ。と思われる読者諸君も多いだろう。
しかしそんな妨害などという強い意志を持たねばできないことをできるほど僕には意気地というものがない。
これすべて我が暗愚の為である。
居候の寂しさは夜に来る。そういう場合は夜の街に繰り出す。と言っても寂しさと人の誘いのタイミングが合一するタイミングはまれだし、寂しいからと言って人を誘い呼び出し、寂しさをぶつけるような酒に突き合わせる度胸も自信もない。
結句行きつけのバーに行き、喋る。ということになる。バーというのは街の中でそういう地位を占めているのだ、ということを最近はとみに思う。
キャバクラ、ホストクラブ、スナック、ガールズバー、メイド喫茶、コンカフェ。そういったものの意味というのが一人で都会に暮らしてわかってきた。
僕の行きつけといえるバーは新宿、四谷三丁目、高円寺に一軒づつある。
ここへ出かけて、あるいは仕事帰りによって、喋りながら酒を飲む。
あのバーという空間へは皆がある程度そこにいる人と話をしに来ている。
うーん、進次郎のような話になるが、バーに来ている人は全員バーに来ている人、なのだ。
であるから知らない人が相手でも、なんだったら人見知りの僕だが、行きつけのバーであると、場所見知り、もないのでかなり話ができる。いや、相手の話を聴いているだけで面白い。寂しさに目が向かなくなる時間だ。
そうこうしているうちに23時を過ぎたあたりで終電。
さすがに朝まで飲む体力も財力もないので帰宅をすることになるが、3つの行きつけ、すべて武蔵新城から遠いのだ。
1時間くらいは帰宅に時間がかかる。
この1時間、ずっと座っていれれば楽なのだろうが、そうはいかない。混んでいる。さらに乗り換えも多数。そして人のことを言えた義理じゃあないが、とにかく電車全体が酒臭く気分が悪い。今から一人の居候のねぐらに帰るのか、と思うと突如として寂しさが吹きすさぶ。詮無いことだとわかりながた、酔った頭には大阪に置いてきたネコと妻の顔が浮かぶ。郷里の祖母の顔が浮かぶ。亡くなった母の顔が浮かぶに至って涙が出てくる。
母の顔が浮かんだあたりでやっと武蔵新城に着くものだから、コンビニでヘパリーゼ等各種肝臓機能補助製品と、もう一杯飲む為の酒を買ってどうで荘に帰ることになる。
飲酒と1時間の移動により意識は朦朧である。
鍵を開ける。ドアを開く。倒れこむように体を押し込む真っ暗などうで荘。電気をパチッとつけると撮影機材。モニター。DVDの山、山、山。
皆さんに貼っていただいた床にどったりと倒れこんでひとしきり「あー…」だの「のみすぎたあ…」だの唸った後に、手慰みにTwitter(現Ⅹ)を観ようとすると、スマートホンの電池切れが間近。これはいけない、這うようにして電源タップに近づく。当然すべての電源は埋まっているから一生懸命手を伸ばして手近なコードを抜いてそこに携帯の充電器を指す。
そう、長くなったが、この手近なコードが重要なコードだったりするわけである。
そしてべろんべろんに酔っ払っているのでその重要性を認識せずに眠る。
起きるとすべてを忘れて健やかになってしまっているので、もう抜かれたコードはそのままだ。
そうなると後日の配信に支障をきたす。
と、こういう流れになるわけである。
全て我が暗愚より来ているというのはそういうわけだ。
今迄配信に支障をきたすたびに「なんで抜けているんだこのコードはわからんねえ」という顔を玉木青に僕もしていたのだが、すまぬ、あれは酔っぱらった僕が抜いている。ここで懺悔をする。
今後はやるまいぞとは思っている。しかしどうすれば防ぐことができるのか、というのが皆目見当がつかん、さて、と懊悩しているとにこの度、新しいスタッフYこと横山清正氏がその持ち前の粘り強さでこの線のぐちゃぐちゃを整理しきったのであった。
中々できることではない。
整理すると意外と空きの電源口も確保されるもので、今後はそこに充電器を刺せば事足りる、という状態となったのであった。
降ってわいた平和を寿ぎ、後はまたコードがぐちゃぐちゃにならないよう、注視していくことが、居候の僕にできる平和維持への努力であろう。
しかし横山清正、すごい男である。よくもまああのようなコードを整理しきったものである。ゴルディアスの結び目も、彼さアレキサンダー大王の傍にいれば、一刀両断されることもなかったかもしれぬ。心強い人間がスタッフになったものである。皆もどうぞ彼を頼りにしてください。
僕のことはここまで3000文字書いてきたようななことですからあまり頼りにせずに、期待もせずに、どうか優しく見守ってくれると嬉しいです。
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